= ち り ろ ぐ + =

300年後の足軽ファイター目指して何かをがんばりたい。

猫のいる道

秋ですね。お昼休みにお外でぼーっとするにはいい季節だ。

川沿いの道に猫がいるんですよ。
白地に黒で、背中から体の側面が黒い。
その左脇腹にペンキ擦ったみたいに白い毛が混じってる。
たぶんもう1年くらいはいると思う。雨の日も風の日も雪の日も炎天下でもいる。
毎日いる。行きも帰りもいる。
元飼い猫なのか、やけに人懐っこくて歩いているとにゃーとか言って寄ってくる。
やめろ私は食べ物はもっていない。

心配するまでもなく、そいつは通りすがりの猫好きの人に餌もらってる。
猫好きは何人もいる。老若男女、幅が広い。
初めて見たときはずいぶんしょぼくれたやつだったけれど、今はすっかり毛並みがつやつやだ。
猫は世渡り上手だ。

私はその黒板にチョークを擦ったみたいな毛並みのそいつを「白墨」と呼ぶことにした。


ある日の帰り道、薄暗くなった道に白墨がいた。
でれんと寝そべったそいつにまたがるようにしてもう一匹いた。

同じ模様の猫が。

正直、悲鳴を上げないのが不思議なくらいだった。

なんだこれ生霊? ドッペルゲンガー? 私、見ちゃったけど死ぬの?

同じ模様のそいつは私を見てにゃーと言った。


それから白墨を見なくなった。
いつもやつをかまっていた猫好きの人のひとりが、餌の入っているらしい袋を持って不安そうにあたりを見回していた。

赤の他人間のわたしが見たのだ、白墨はドッペルゲンガーを見たはずだ。
夕闇で出会った猫はもういないのかもしれない。

都市伝説は本当だったのかと思い始めた頃に、猫を見た。
同じ模様の猫だ。白墨は生きていた。
そりゃあそうだと私は思った。都市伝説は証明できないから伝説なのだ。

いつものように横目でみやって通り過ぎるそのときに気がついた。
左脇腹に擦ったみたいな白い毛がない。
別の個体だ。別猫だ。
親子か兄弟か姉妹か知らないが、とにかく別の猫だ。

猫は2匹いたのだ。
道理で毎日毎日よく見るはずだ。

白墨は今日もにゃーと言っている。
私は、もう一匹を「ドッペルさん」と呼ぶことにした。

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